【5話閑話】 〜トリガーハッピー〜


もはや、彼の意識は引き金を引くことのみに集中していた。
力――――――それも、強大な。
圧倒的な。それをもって弱きを制する。何と愉快な事だろう。
撃つ。ただひたすら。何故か弾は切れない。無心に引き金を引き続ける。
そのうちに彼は気付く。自分の中の“悪意”に
どうしてやろう?これはすぐに終わらせてしまっては勿体ないな?
じわじわと追いつめ、威し、虐げ、嬲り

 ――――そして、殺す。

圧倒的な力で命を奪い、この手で世界の神を壊す・・・・彼はぞくぞくした。
人は美しく尊いものに焦がれる。
そして、彼の目の前にはそれが居る。
自分はそれを汚す事が出来る。思うさま蹂躙し、地獄に突き落とすことが出来る。
あぁ、あの少女はどんな風に絶望に顔を歪めてくれるだろうか?泣き声は?死の瞬間は?

「はっ、ははははは! はははははははははっ!!」

気付けば、彼は自然に声を上げて嗤っていた。
理不尽なまでに、一方的に容赦無く他を痛めつける・・・・至上の快楽。
彼は銃を撃ち続けた。とても愉快な気分で。
あの標的を仕留めること以外頭に無い。

尽きない銃声が、森の中に響いている。獲物は逃げ惑う。
彼はそれを追う。引き金を、引き続ける。そうすれば・・・・
そのうちに、きっと 自分は神に成り代わる事が出来るのだから。



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